山行報告 荒島岳  平成29年2月26日  
   参加者 織田 田井 八十嶋
   コース 旧勝原スキー場から山頂まで往復


 荒島岳は福井県唯一の日本百名山であり、私にとっては学生時代雪山合宿を何度も行った、なじみ深い山である。
山頂からの眺望は素晴らしく、白山と石川・岐阜の山々や、福井平野に日本海が一望できる!・・・らしいのだが、私は一度も見たことが無い。なぜなら、いつもいい所で吹雪になるから。たまには荒島岳のいいところが見たいと願っての山行であった。
 朝方は良い天気であった。私は少し寝坊して織田さんや田井さんを待たせてしまって、出発は多少遅れたが、十分安全な時間帯に帰って来れるであろう時間に登山口についた。
 すると驚いたことに登山口は車でいっぱいだった。おかしい、学生のころ(10年ほど前)には誰にも会わないような山だったのに・・・。車のナンバーは「なにわ」「京都」「滋賀」・・・ほとんど関西の人だ。最近関西の人が雪山を求めてこっちに来るとは聞いていたが、まさかこんなに大人気だとは。いつのまに・・・。一抹の寂しさを覚える。
 登山口の積雪は50センチほど。晴れているせいかカチカチに締まっている。
トレースもこれでもかとついている。楽をしてしまってすみません。
それでも、最初から傾斜があるコースなので結構体力を消耗させられる。すぐに暑くなり、一服してカッパを脱ぐ。
 標高が600mを越えると、すぐに稜線が美しいブナ林に覆われる。
前日に少し雪が降ったらしく、ザラザラと凍りついた雪の上に10センチほどのパウダースノー。
陽が当たるときらきらと輝く。途中、「トトロの木」と名づけられたブナがあった。曲がりくねって面白い形をして入るが、これくらいのブナなら割と良く見る気がする。見上げると、むしろ空の青が目にしみた。この時期は空と灰色の樹皮が良く映える。
 標高1000mを越えたあたりでアイゼンを履く。この山は主稜線に出るとかなり風が強い。寒い場所で、もぞもぞアイゼンを履くのは御免だった。後続の人が何人か居たが、彼らはほぼ最初からアイゼンを履いていた。
「ここまでアイゼンなしに来たんですか」と驚かれたが、別に滑落しないような場所ならアイゼンはいらないと思う。むしろ邪魔だ。危険箇所があるのはこの先だ。
 勝原から登る稜線と主稜線とが合流する「シャクナゲ平」に着くと、そこには色とりどりのカッパで彩られる登山者の村が出来上がっていた。テントも張られている。改めて言うが、いつの間にこんなに大人気の山になったのだろう。同行する田井さんがくれたチョコだけが癒しだった。
 主稜線は思ったより風は無かったものの、木の枝にびっしりと「えびの尻尾」がついているのを見ると、普段の風の凶悪さが推し量れる。ここからが最も美しく、最も厳しいエリア。傾斜角がきつく、まるで壁のようにそびえる斜面の「もちが壁」を越えなければならない。トレースがあって楽とはいえ、ここだけはしっかりアイゼン・ピッケルを効かせなければ。トレースは、壁を右手に巻くようについていた。「なるほど、こっちから行くと楽なんだな」と感心する(学生のころは正面突破しようとして四苦八苦していた気がする)。いやあ、ありがたい・・・。後ろを振り返ると、主稜線の向こうに小荒島岳が見え、その向こうには大野の街と白く雪化粧した田んぼがモザイク模様のように広がっていた。
 こうして壁は思ったより楽に越えられたのだが、このあたりでどうやら何かの罰が当たったらしく(織田さんが下品なことばかり言うからだと思う)、思い切り天候不順に。刺すように詰めたい風が吹きすさび雪はごうごう降ってくる。「ああ、またしても・・・。」これぞ荒島岳の醍醐味ですよ!(やけくそ。)結局、山頂に着くころには完全にホワイトアウトに。記念写真だけ撮影して這々の態で逃げ帰った。
 帰りは風?でトレースが消えかけてるわ、近くに雪庇があるというのにガスで数m先も見えないわ。ヒヤリハット事案の連続であったが、それもこれも自分が寝坊したせいで行動が遅れ、天候が悪くなる前に登頂できなかったことが原因です。すみませんでした。またそのうちリベンジします・・・(次はもっと人が少なくて、テント泊するくらい手ごたえがあるルートから登ります!)

                                           (文 写真  八十嶋)
 
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