報告 宝達山自然観察会 平成29年5月28日  
   
日時 5月28日(日)9時30分〜14時30分 宝達山=こぶしの道
参加者 (会員)樽矢、澤村、安田、埴崎。樽矢夫人、谷内、多田(会員外=安田同行)
現地案内 金津五雄氏(宝達山フアンクラブ) 
 定刻に全員終結。樽矢事務局長から代表挨拶、金津案内人の紹介と案内ポイントを埴崎から披露、
参加者の自己紹介で登山口の水場で給水しコブシ路に入る。
この登路は稜線に出るまで、一部ロープ場もあるが一貫して歩き易く整備が進んでいる。
花期には少し早かったが愛好家が保護育成に従事されて、徐々にその群落が広がるササユリが生息し、登山者の癒しの存在となっているようではあるが、心無い抜き取りの被害も現出してきている。
宝達丘陵は能登半島の基部にある北東〜南西方向の丘陵。北東は高岡の二上山断層崖で砺波平野に、北西は石動山断層で邑知潟平野に、東は灘浦断層で富山湾に接する。
その間約40kmに展開した標高200〜400mの低山帯で石動山・碁石ガ峰などの残丘が峰をなしている。
富山県側は林道も整備されて、ボカスギの植林が盛んである。

 
 石川側は山地帯植生としては南方系の植物や原生林を含め、多彩な構成を成す能登地方でも有数の植生豊かな地である。
こぶしの路の途次には植生の多い樹種の説明版が設置され、金津案内人からは案内表示に無い「地元の暮らし」と密着した夫々の木々との関わり、命名の由来伝承等が懇切に解説される。
谷内・多田さんからも居住の里山での木々との関わりからの質問も出る。
安田会員からも豊富な体験・知識に培われた植物の追加説明も受け、中間点の送電鉄塔で休憩を取って、頂上稜線の林道に飛び出る。
4kmの行程で12時を回っている。この頃には朝の曇天から開けた空は快晴の状況で(夏の訪れを体感)とのメンバーからの声。
「山の龍宮城」で知己の橘栄子館長から歓迎を受け昼食を摂る。午後は一等三角点のピークに向かう。
巨大なパラボラアンテナが林立する頂上周辺は異様の感が強い。
   
 三角点(637.1m)はN36度46分54.8秒、E136度48分46.9秒の位置である。航空測量やGPSでのcm精度の精緻な観測に進化した現状では、存在意義すらも薄い三角点であるが。
「点の記」等での設定当時の苦闘やロマンの数々は、標石天の方位十字に触れることで想起する世代とはなった。
宝達山は1995年に林野庁の「全国水源の森百選」に選ばれたもので、県下では白山市白峰の(小原山水源の森)との二か所ある。
北海道/東北で17、関東で16、中部で23、近畿で11、中国/四国で19、九州で14あり森林が過半を占める列島で「緑と水」の源泉である水源の森を後世に引き継ぐ為には、国民一人一人の理解と努力の積み重ねで保全・整備していくことが必要とし、森林の所有者や地域住民の努力により、太古から維持されてきた森林を選抜したものであります。
特筆は頂上部に広がるブナの原生純林で周回路が森林浴の極として楽しめる。
又山頂からの林道開通前後と開山の4月23日あたりの後立山・劔・立山連峰北アに、白山の残雪遠望景観は素晴らしいの言葉に尽きる。
頂上より「山の竜宮城」へ帰着後、天気に感謝し解散とした。              文:埴崎 写真:樽矢
 
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