平成26年度夏合宿  笠ヶ岳    
 
  夏山登山
 (笠新道)~笠ヶ岳~双六岳~(樅沢岳~西鎌尾根~千丈沢乗越)~奥丸山~(わさび平)


・日 程 2014/7/19~21
・場 所 上記表題縦走
・参加者 CL中川博人、SL八十嶋 仁、木村創史、池本順平

 ーー画像と報告です (各記事にジャンプします)
行程の様子(画像 34枚)
報告(池本順平会員)
報告(木村創史

7月19日 03:30 金沢発。 リーダーからコース変更の指示が出た。“現地気象情報に
よると、当初予定のクリヤ谷から笠ヶ岳は、降雨増水による徒渉困難が予想される為、笠新道のコースをとる・・”
 06:30 新穂高温泉に車を停める。08:00 笠新道口より入山。余談になるが、1993(H5・45歳)に(旧)笠新道より登ると自分の山行記録に有る。この道は平成7年の崩落で埋まり、現在の道が開かれた事になる。Yが登山口に立ち“壁だな”と言ったが、見上げる急登に、道なき斜面を開いた困難さを想像すると、日本山岳会石川支部「ふるさと登山道整備事業」の一つ、「浅犀みくまり道」の周回路開鑿にとりついた時の西嶋さん達の苦闘する姿がダブって見えた。標高差1700mの笠新道は、植生の垂直分布変化が実に良く分かる。ブナやミズナラの原生林が鬱蒼と茂り、それが針葉樹に、そして森林限界を超えハイマツに。この辺りではまだ早いのかニッコウキスゲやコバイケイソウが蕾を付けて顔を出す。晴れていれば中崎尾根越しに望む穂高連峰の雄大な眺めが疲れを癒してくれるのだろうが、あいにくの雨雲に遮られて見えず、そこはNさんの話で絵を画き、この植物たちの変化を楽しみとして、足の疲れを忘れて上がろう。13:00 長い登りが終わったと心身ともに感じさせてくれる景色が飛び込んで来る。2450m抜戸岳南尾根の稜線を越え、杓子平のカールが広がる眺めを目にした時の解放感に、前に進むのも忘れて30分もの大休止。腰を下ろし雲間に顔を出す笠ヶ岳や連なる山々、カールを目でなぞる。リーダーの事前聞き取りによるコース状態は、一週間程前まではかなりの緊張を強いられる残雪が張り付いていたとの話だが、笠新道分岐を過ぎ主稜線歩きに入ると、時々姿を見せる笠ヶ岳の頂稜の風景と重なり、稜線漫歩絵のごとしといった足取りで17:00一日目の幕営地笠ヶ岳キャンプ場に着いた。腹立たしいのは、消費税8%の増税でテン場料金も軒並みアップ。ここは1人800円、他のキャンプ場は1000円と聞き、ビールを一本減らして帳尻を合わせた。小雨が降り続く中、2人張りの狭いテントに、大の男4人膝をくっ付けての楽しき宴。
寝に付き晴天を山の神に祈る。

 7月20日 05:00起床、まずは山頂に登拝。あいにくのガスに包まれた山頂だが、一つやり遂げた満足感で祠に額ずく。軽い食事とテントを畳、07:35次の幕営地双六小屋へと足を進める。槍・穂高は雲に隠れ今日も顔を見せてはくれないが、気持ちの良いハイマツの茂った稜線上の道はなだらかなアップダウンを繰り返し、抜戸岳を過ぎ09:30秩父平に出ると前方に大ノマ岳や弓折岳の稜線が見えてくる。周辺はカール底の谷筋まで遮るもののない眺望が広がり、雄大なアルプスの展望を満喫させてくれた。11:25大ノマ乗越を過ぎ危険と感じさせるほどでは無いが、話では5・6月の少雨のせいか例年より残雪が多いとの事。11:57弓折乗越着までピッケルを出し、雪上訓練よろしく雪田歩きが続く。下れば鏡平へと続く分岐点。明日の天候次第ではここに戻る事になるのだが?今は足元に咲き誇るお花畑を楽しみながら双六に向かう。12:10チングルマ咲き誇る花見平で小休止。双六岳の山容が見えてくる。双六池と小屋が目に入ってきたが、ここからが以外とある。13:30 双六小屋キャンプ場に着く。テント設営、ザックを置きその足で双六岳へ。春道の雪田を直登して山頂へ。360度、とにかく広大な眺めだ。三俣蓮華から黒部五郎、槍・穂高、今日歩いた笠からの稜線。1時間30分の快適な往復路をこなし、飯だ!昨日と打って変わり長々と足を延ばしてのdinner
Yさん持参の1升パック、荷重軽減の為腹に入れる協力を惜しまなかった。

 7月21日 月が樅沢岳の上空に残照を残し、御来光のまばゆい光に消されてゆく。素晴らしい天気だ。07:00 双六小屋を出発し樅沢岳に向かう。中腹のハイマツ帯で雷鳥の単体に出会う。これまでの道筋で初めて出会う雷鳥、それも一羽。可愛いとばかり言っていられない、絶滅危惧種だ。山頂は西鎌尾根と槍・穂高連峰のパノラマが広がる。下りは滑りやすい斜面が続く。07:50 硫黄乗越から西鎌尾根に入る。足場の悪い痩せ尾根とクサリ場、ザラザラした石屑の道が続く。絶えず前方には槍ヶ岳が座っているが、ひときわ大きく見えてくると10:00千丈沢乗越だ。休む間もなく奥丸山分岐へと進む。砂礫が露出した斜面、足場が定まらず歩きづらい。疲れた足には辛い所だ。12:00奥丸山分岐から山頂へ、今まで歩いた道筋が確かめられる。笠ヶ岳から槍・穂高の稜線が大パノラマで一望に。Nさん愛用の一眼レフを持ってこなかったのが悔しいだろう。眼前に迫る穂高の峰、滝谷等3000mの稜線から一気に落ちる沢筋の迫力。余談だが、この沢筋で、私たちの山行半月後の8/16天候急変による鉄砲水増水で、下山途中の3人が沢に流され死亡した。当時現場周辺では、大雨警報が出ていたと言う。延期、中止の判断が出来なかったものか、タイムスケジュールに縛られたのか?いち早くコース変更の指示を出した例も一つだが、Nリーダーのその場に応じた判断力は、パーティのメンバーには何よりも力強い縦走の支えであった。奥丸山山頂よりの下りは、木の幹や枝を手掛かりにして下る滑りやすい急斜面で、自分には辛い思いしか浮かばないコースであった。蒲田川左俣林道の登山口指導標を見た時、正直ホッとした。林道歩きで、身体の疲れはさほど感じなかったが、足裏ジンジン痛いのには往生し、わさび平小屋でビールを引っかけた時の解放感は筆舌に尽くせないものが有った!
とにかくこのコースとしては、最高の達成感、自己満足・大満足の山行でした。
   
                                   池本順平

 初めの笠ヶ岳でした。後半は天気にも恵まれ、澄み渡る青空の下、穂高連峰、槍ヶ岳を望む事ができ、とても感動的でした。Nさん、Yさん、Iさんに同行させて頂き、多くの事を学ばせて頂きました。
立ち止まる度に見え方が変わる景色や稜線などを見渡し、時には、足下の可愛らしい植物に目を移したり、登りながらも山を楽しむ事の奥深さを感じました。また、登る事以外にも、アイデア満載な夜のごちそうにも、魅了させられました。
まだまだ奥が深い登山をもっと楽しみたいと思いました。
 改めまして、今回、同行させて頂きました、皆さんに感謝致します。
                              木村創史

 

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